見積もりの数字が、出すたびに変わっていませんか
半年前に出した見積もりが、今ではそのまま使えない。そんな声を耳にする機会が増えています。
シーリング材や断熱材、樹脂サッシなど、輸入に頼る建材の価格が短期間で大きく変動しています。あるシーリング材では、従来3,000円だった価格が直近で30,000円まで上昇したケースが報告されています。
原因は中東情勢の悪化に伴う原油・ナフサの供給不安定化とされ、同委員会は経済産業省など複数の省庁に対し、資金繰り支援や雇用維持を求める要望書を提出しています。
(出典:建設アクション実行委員会が2026年5月に発表した要望内容)
今回は、こうした資材高騰が工務店の資金繰りに与える影響を整理したうえで、工事収益とは異なる資金の流れを持つ「不動産仲介」という選択肢が、経営の安定にどうつながりうるのかを解説していきます。
なぜ「もう一つの収益源」が資金繰りを楽にするのか
工務店の売上は、着工から引き渡しまでの間、原価が変動しても契約金額を変えにくいという特性があります。
資材価格が上振れした分は、基本的に自社の利益から吸収せざるを得ません。売上規模が大きくても、手元の現金が薄い状態が続く会社は少なくないと言われています。
一方で、工事とは別のタイミングでお金が動く収益源を持っていると、資金繰りの波を多少なりとも平準化できる可能性があります。
たとえば不動産の仲介手数料は、工事のように材料原価がかからず、成約時にまとまった額が入金される、という点で工事収益とは異なる資金の流れを持っています。
これは「不動産をやれば資金繰りが解決する」という単純な話ではありません。
ただ、原価変動リスクを直接受ける事業(工事)と、受けにくい事業(仲介)の両方を持つことは、経営の選択肢を増やす一つの考え方として、資材高騰局面では検討する価値があるのではないでしょうか。
不動産の知識が「顧客対応」の質にも影響する
資材高騰が続く中、契約済み・商談中の顧客に対して、価格上昇や工期遅延の可能性を早めに、かつ具体的に説明することの重要性が、住宅業界の中で改めて指摘されています。
ここで意外と見落とされがちなのが、「土地の状況」に関する説明力です。
たとえば、土地の引き渡し時期や決済のタイミングによっては、資材価格の変動が着工時期とどう重なるかが変わってきます。
土地探しの段階から関わっていれば、こうした資金計画・スケジュールの説明をより早い段階から顧客に行うことができます。逆に、土地が決まってから初めて相談を受ける立場だと、説明できる情報が限られてしまいます。
不動産の知識は、家を売るための知識である以前に、顧客に正確な資金計画を伝えるための知識という側面もある、と言えそうです。
資金繰りは「守り」、収益の多層化は「攻め」
現状把握やバッファ確保といったキャッシュ確保の対策は、いわば守りの対策です。
一方で、工事とは異なる資金の流れを持つ収益源を検討することは、次の資材高騰局面に備える攻めの対策とも言えます。
どちらも一朝一夕にできることではありませんが、資材価格の変動が今後も続く可能性がある以上、両方の視点を持っておくことは、経営判断の材料として無駄にはならないはずです。
まとめ
資材価格の高騰は、工務店の資金繰りに直接影響する経営課題です。
守りの対策として現状把握とキャッシュ確保を進めると同時に、工事とは異なるタイミングで収益が発生する事業を持つことも、選択肢の一つとして検討してみる価値があるのではないでしょうか。
こうした資金繰りや収益構造の見直しについて、実際に何から取り組めばよいか迷われる工務店・建築会社の経営者様も多くいらっしゃいます。
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